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お客様と同じように、建築士にも「ここは譲れない!」
というポイントは持っているもの。
ベストなプランを提案するために、日々考えていることとは――?
今回もカキザワホームズの考える間取りについて語り合います。
- 石山泰央(左)
- 一級建築士。1980年3月生まれ A型。プランニングを主に住宅設計に従事。敷地の形状、方位、家相などを考慮した間取りや、家族の暮らし方に合わせた空間の構成、ご婦人の家事動線を考え使い勝手のよい水回りの提案など実用的な目線からの的確な提案をモットーとする。
- 相須友昭(右)
- 一級建築士・二級管工事施工管理技師 ほか。1976年1月生まれ B型。ゼネコンで現場管理、設備設計、建築設計と幅広く業務を経験した後、住宅の設計に携わる、住まい手のライフスタイルをイメージして、その生活がさらに豊かになるような家造りにこだわる。狭小地・変形地での住宅を得意とする。
結局はシンプルが長持ちする
石山 基本的には「線を整えていくこと」というか、窓のサイズなどの外観の立面は揃えます。お客様に提案する時は、最初はなるべくシンプルな形で、その後に外構なども描いていきます。シンプルな建物は、それだけを見ると簡素に見えがちですが、植栽を入れ込み外構を計画すると、グッと変わってきます。変形した特殊な建物を提案した場合、お客様にピンと来なかったら、そこで話が止まってしまいますから。シンプルな方が、構造的にも安定し丈夫です。せっかく建てるんだから、30年で取り壊すようなものではなく、やっぱり次の世代まで残して欲しいですよね。その点でもシンプルなものがいちばんだと思っています。
相須 「より普遍的なデザインを求めて、流行り廃りに左右されず、デザイン的にも長持ちする家をつくる」とは、社長も常日頃申しています。ただしシンプルすぎて面白くない、というのとは違います。
石山 外構や、ちょっとした装飾――庇をつけるとか、外観の素材をちょっと変えるとか、壁を立ち上げるとか。少し手を加えただけで変わってきますが、そのさじ加減が難しいところです。あんまりやりすぎると、お客様から「これは何のためにあるの?」と言われてしまいかねません。明確な説明ができるものでなければ。
相須 俗に言う“取ってつけたもの“にはならないようにしないとね。でも、“デザインを長持ちさせる”という考え方はなかなかない。もちろん結構前に建てられていても、古さを感じさせない良質なデザインのなされている住宅もあるけど、街中で見かける住宅の中には、「あの時代の流行を取り込んでいるな」と思うものがしばしばあります。
石山 「あの時、こんなデザインが流行ったよなあ」と思ってしまうような家は、たとえ綺麗に手入れして住んでいても、時代遅れに見えてしまいます。
相須 そう。現在は建物の寿命が長くなっているから、余計に長く耐え得るデザインを考えていかなければいけないよね。
節電の真夏でもエアコンいらずのワケ
相須 より環境の意識が高いお客様が増えましたね。中には、世の中が節電で真夏という時季に「エアコンをまったく使っていない」というお客様もいます。このお客様はもともとエアコンがあまり好きではないそうですが、カキザワホームズの家が断熱性に優れている上に「風通しの良い家に」という要望に基づいて建てた家に住まわれていることもあり、月々の電気料金が5000円を切っているとのことです。
石山 それはすごい! 風通しが良くないと適わないですね。
相須 こういう要望は今後増えてくると思いますが、これも敷地の条件を把握していなければできないことですね。デザインを重視するあまり風が通らない、なんてことがあってはいけません。南側の窓をやたらと大きくすることで、夏場の日差しがきつくて仕方ない! なんて事態になったら悲惨です。そういう点でも、デザインはつくり込みすぎない方が良いのでしょう。このようにデザインと環境のバランスを上手く考えていくことが、これからの設計に求められているのではないかな。
石山 お客様は内装の素材にも敏感になってきましたね。
相須 珪藻土や漆喰などの自然素材はごく一般的になってきました。
石山 自分たちのつくる家の環境について、要望というか、興味を持っているお客様が増えています。特に小さいお子さんのいる家庭で多いです。「LDKだけはこうして欲しい」というように、はっきりと優先順位をつけられているお客様もいます。「ここだけは譲れない、お金をかけたい」と。今まで住んできた家や集合住宅で経験してきた問題点を解決した家に住みたい、という強い要望があるんですね。このような要望は伺います。「あちら立てればこちら立たず」という場合もありますけど。
外に閉じ、内に開けば季節を感じられる
相須 コンセプトでもある“外に閉じ、内に開く”についてはどう考えている?
石山 淵野辺の展示場がまさにこの考え方に基づいていますね。視覚的にも音についても閉じた空間をつくることによって、住む人のプライベートな時間はつくれます。でも、あまりにも閉じすぎてしまうと、毎日そこに住むには快適とは言えない。だから家の中にはフレキシブルにできる要素をつくっておかないと。
相須 一般的な住宅であれば、庭を設けて、そこに面して窓をつくることで、より開放的かつ立体的に内と外をつなぐことができます。
石山 建具によって、間取りが季節ごとに可変できるのもいいですね。
相須 自分たちで間取りをコントロールできると、必要な時に必要なだけ“外に閉じ、内に開く”ことができるので、ハレとケをどう考えるか、という問題も解決できます。ちなみに昨年建てた僕の家には中庭を設け、シンボルツリーとして落葉樹を植えました。中庭って内に閉じているぶん、どうしても季節感がなくなるので、季節感を感じさせるようにしたかったのです。外構も建物と一体で考えていかないといけませんから、植栽も含めて、初期のプランニングの段階から考えていきます。
石山 植栽の計画をしないと、道路から玄関までのアプローチが定まらないですよね。外構計画によって建物の見え方は変わってきますから。
相須 シンプルで美しい家をコンセプトにしているからこそ、外構は映える。それに道路と建物の間に植栽やウッドデッキを設けて中間空間をつくることで外との距離感が出ますし、内側から見た場合も開放感が生まれます。
石山 ウッドデッキにベンチを設けられると、さらに変わりますね。
相須 外の空間を部屋の中に取り込めると、かなり変わってきますね。カキザワホームズの家は断熱性に優れているので、一般的な住宅とは間取りが異なり、内側もより開放的に連続した空間がつくれるので、間仕切りを少なく提案できるんです。廊下がなかったり、吹き抜けで上下がつながっていたり。このように空間の連続性を取ることでも、同じ広さ以上に感じることはできます。
石山 開放的と言えば、以前よりプライバシーを気にするお客様は少なくなっているような気がします。
相須 時代の流れとともに、住み手の家族構成やライフスタイル、家に対する考え方というものが昔とは変わっている中で、家庭間のプライバシーについての考え方もだいぶ変わってきています。リビング階段を考望されるお客様が多いというのもその1つですよね。




