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全く違う目線から、個性際立つ空間を創り上げる2人の建築士、石山泰央と相須友昭。
建築士としての原点を振り返りつつ、建物観について、ざっくばらんに語り合いました。
建築士と、それを様々な形でサポートする各分野のスタッフ。異なる分野・様々な観点が交わる時、今までにない何かが生まれる。
- 石山泰央(左)
- 一級建築士。1980年3月生まれ A型。プランニングを主に住宅設計に従事。敷地の形状、方位、家相などを考慮した間取りや、家族の暮らし方に合わせた空間の構成、ご婦人の家事動線を考え使い勝手のよい水回りの提案など実用的な目線からの的確な提案をモットーとする。
- 相須友昭(右)
- 一級建築士・二級管工事施工管理技師 ほか。1976年1月生まれ B型。ゼネコンで現場管理、設備設計、建築設計と幅広く業務を経験した後、住宅の設計に携わる、住まい手のライフスタイルをイメージして、その生活がさらに豊かになるような家造りにこだわる。狭小地・変形地での住宅を得意とする。
住まい手に、柔軟でありたい
石山 小さい頃から絵を描くことが好きでしたが、高校生の頃は好きな教科とそうでない教科がはっきり分かれていて。美術、数学、物理は好きだったので、それらを合わせられるものは何かと考えたら…建築だった(笑)。
相須 小さい頃から物づくりや絵を描くことが好きでした。実家が土地を買って家を建て替える時にも現場へ通っていたくらいなので、建築には昔から興味がありました。大学では商業建築や都市建築について専攻したこともあり、卒業後はゼネコン会社に就職し、「ゆくゆくは設計の部門に行ければ」と考えながら現場に通って。そんな時、そのゼネコン会社が立ち上げた住宅部門での設計士の募集に手を挙げ、立ち上げの段階から携わったのが住宅建築との出会いです。結局、ゼネコンでは現場や設備設計を5年、住宅部門で4年。その後紆余曲折を経て、カキザワ工務店に入社しました。
石山 僕は大学で建築学を専攻していましたが、卒業後すぐには建築の道に進まず、1年間くらい家具工房の親方について、職人をしてからカキザワ工務店に入社しましたので、設計の仕事は入社してから学びました。上司や工事の監督さん、そして特に現場を見て、教えてもらいながら設計ができるようになりました。
相須 学生時代は、大学の近くにあった豊田市美術館によく行っていました。美術館建築で世界的に有名な谷口吉生さんが設計した最高傑作と言われている美術館です。借景も含めて一枚の絵のように見える、外から眺める景色が好きなんですよ。美術館ってある意味、非現実的な空間ですよね。最近は変わりつつありますが、一般的な建築物や住宅が無駄を省く傾向の中で、“無駄なことが許される”のが、美術館建築の特徴です。シンボル性があり、遊びがあり、建物のデザイン自体もランドスケープとして機能している。許されるのであれば、自分の設計する住宅にも反映させたいです。
石山 僕はコンサートホールが好きです。中でも好きなのが、フランス人のクリスチャン・ド・ポルザンパルクが設計したルクセンブルクのコンサートホール。ただ単に音楽を楽しむというものではなく、建物全体で視覚的な効果を出すところが好きです。住宅に限らず建築全般に言えますが、使う人の文化性、つまり“住まい方”がとても出ると思うので、住宅の中であまり制約を作りたくないし、設計者の意図で縛りたくないですね。
相須 最近は環境や住み心地に配慮した住宅など、住宅の性能にこだわる建築士が増えてきたけれど、一時期は住み手に住まい方を強要するような建物を設計していることが多かった。でも僕は、長く快適に暮らしていただきたい、と常々思いながら設計しています。
石山 住まい手の好みが、後々でも入れられるような、柔軟なものでありたいですね。例えるならば食器。使い慣れた食器は一年中どんな理由でも盛り付けしてテーブルに広がる。自分のお気に入りのマグなんて特にそうだと思う。コーヒー・紅茶・ジュース・スープなど。
相須 求められるものはお客様によっても違うから、機能性は大事にしたいし、デザインも機能性の中で考えていきたい。どういう目的があって、どういう効果を出すためにこのデザインにしたのかを、使っていく中で“感じられる”ために大切にしていきたいと思います。
その土地の空気感を反映させる
石山 今は雑誌などに載っている図面や写真、インターネットを見れば、どんな建築物でも見たい時に見られる時代ですが、僕は実際に現場で見たい。スケッチもしたいし、現地ではどういう人たちが暮らしているのかも知りたいし。そうしてあれこれ見ていく中で納得して、持ち帰ったものを設計に反映できればと思っています。
相須 たしかに、「行ってみないと解らない」という部分は多い。
石山 写真からは読み取れない部分が、案外大事なことも多いです。
相須 周りの環境が建物に与える影響は大きいから、写真などで平面的に見るのではなく、現地で空気感や素材感や雰囲気を感じることは重要! お客様からの要望が同じような場合でも、土地が違えば間取りはまったく変わってきます。
石山 要望を伺った上で「こうした方が良い」と考えるものを提案しているつもりでも、それがお客様の要望とぴったり合わないこともあります。敷地の周りの環境も含めて全体的に考えた上でベストな提案をしたい。
相須 カキザワ工務店では“営業部”というような、縦割りの業務はしていません。バリバリの“営業マン”がいない代わりに、営業をする人間は、お客様との出会いから打ち合わせや完成、そしてその後のお付き合いまで受け持ちます。住宅は建てた後の付き合いが長くなりますし、せっかく地域密着の会社でもありますから。僕は設計という職業から営業も兼ねるようになったので、素材のメリット・デメリットや、コストについて、設計的・工事的な視点から正直に話してしまいます。安請け合いはしないで、お客様のこだわりのポイントを引き出して冷静に分析し、提案できるというところが、お客様に信頼をいただける強みであると思います。
土地に住むか、建物に住むか
相須 昨年、台形の変形地に我が家を建てました。正直なところ、このあたり(神奈川県内)に家を建てることになるとは思っていませんでしたが、妻が積極的で(笑)。あえて変形地を探したわけではありませんが、何といっても価格の安さがポイントでした。年齢・年収・住宅ローンの借り入れ可能額は全国的にさほど変わらないはずなのに、それに比べると、このあたりの土地の値段は明らかに高い。そうすると、利便性やロケーションなどの敷地の良い条件のところだけを探していくと、予算が足りなくなってしまうので、建物にお金がかけられないというパターンが多くなります。 “土地に住む”か“建物に住む”か、どちらを優先させるかにもよりますが、敷地の形や面積はプランニング次第でカバーできますし、逆にその土地を活かして、その土地でしか成り立たないような建物ができます。土地にかける50万円と100万円の違いは大きく変わりませんが、建物にかける50万円と100万円の違いはかなり変わってきますよ。僕は変形地や狭小住宅が得意ですが、それも活かせたかな。
石山 僕が家を建てるなら、海の近くがいいですね。そして、物があふれかえっているのが好きではないので、“真っ白”な感じで。絵を描くのが好きなので、大きな壁一面をキャンバスにして、自由に描けたらいいですね。それに、みんなで料理ができるようなキッチンや芝生の庭も…。あと、インテリアを固定したくないので、あれこれ組み替えることのできる家にしたいです。実家の家柄が古く、「こうあるべき」というのが受け継がれてきた家系だったのも関係しているかもしれませんが…。理想は、ミース・ファン・デル・ローエの設計したファンズワース邸ですね。ガラスの箱というような。
相須 中が丸見え! どこに建てるの(笑)?




